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とある楽団の演奏会に招待された私は、開演を待っていた。
照明が落ち、奏者が舞台に現れ、手にした毛玉をなで始めた。
指先でひっかくように、あるいは手のひらでゆっくりと。
旋律でも曲でもないが、ほっとする音が会場を埋めた。
終演後に奏者の見送りがあり、私は声をかけた。
あの楽器は一体、と尋ねると、楽器を持ってきてくれた。
猫を模した楽器で、撫でる場所により異なる音を奏でるという。
生きている猫のように、全く鳴らない日もあるし、人によっては一つも音を出せないこともあるそうだ。
触っていいと言われ、そっと手に取る。
手になじむ形状。撫でると、手のひらに心地よい感触が伝わる。
やがてゴロゴロと心地よい音が鳴り始めた。
それから数年後、私は団員として舞台に立っていた。
楽器は未経験の私だったが、この楽器は何故か得意で、何より心が和む。
幼い頃から、猫と暮らしていた私には、ぴったりの楽器だった。
照明が落ち、奏者が舞台に現れ、手にした毛玉をなで始めた。
指先でひっかくように、あるいは手のひらでゆっくりと。
旋律でも曲でもないが、ほっとする音が会場を埋めた。
終演後に奏者の見送りがあり、私は声をかけた。
あの楽器は一体、と尋ねると、楽器を持ってきてくれた。
猫を模した楽器で、撫でる場所により異なる音を奏でるという。
生きている猫のように、全く鳴らない日もあるし、人によっては一つも音を出せないこともあるそうだ。
触っていいと言われ、そっと手に取る。
手になじむ形状。撫でると、手のひらに心地よい感触が伝わる。
やがてゴロゴロと心地よい音が鳴り始めた。
それから数年後、私は団員として舞台に立っていた。
楽器は未経験の私だったが、この楽器は何故か得意で、何より心が和む。
幼い頃から、猫と暮らしていた私には、ぴったりの楽器だった。
ファンタジー
公開:21/03/11 10:42
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
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