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休み明けの同僚が、妙に元気になっていた。
聞けば、招待制の観光地に行ってきたという。
「思い切り羽を伸ばせたよ。お前も行ってみるか? チケットやるよ」
手渡されたのは、白い鳥の羽だった。
その週末、私は、海を見下ろす丘に立っていた。
草の上を、風が走り抜けている。
あたりに沢山の鳥がいるが、人はひとりもいない。
丘の突端に立つと、草の香りと海の匂いに包まれた。
目の前で海の蒼が、空の蒼と交わる。
眺めていたら、ふわりと浮かび上がったような気がした。
──気のせいでは、ない?
風の間をぬうように、草原の上から、海の上へと。
私は、鳥になっていた。夢中になって、あたりを飛び回った。
気がつけば、水平線に夕日が沈みはじめていた。
たくさんいた鳥の姿もない。
夢なかばの気分で、私は入り口に戻ってきた。
と、こちらに向かってきた人が声をかけてきた。
「羽は、伸ばせましたか?」
聞けば、招待制の観光地に行ってきたという。
「思い切り羽を伸ばせたよ。お前も行ってみるか? チケットやるよ」
手渡されたのは、白い鳥の羽だった。
その週末、私は、海を見下ろす丘に立っていた。
草の上を、風が走り抜けている。
あたりに沢山の鳥がいるが、人はひとりもいない。
丘の突端に立つと、草の香りと海の匂いに包まれた。
目の前で海の蒼が、空の蒼と交わる。
眺めていたら、ふわりと浮かび上がったような気がした。
──気のせいでは、ない?
風の間をぬうように、草原の上から、海の上へと。
私は、鳥になっていた。夢中になって、あたりを飛び回った。
気がつけば、水平線に夕日が沈みはじめていた。
たくさんいた鳥の姿もない。
夢なかばの気分で、私は入り口に戻ってきた。
と、こちらに向かってきた人が声をかけてきた。
「羽は、伸ばせましたか?」
ファンタジー
公開:21/03/04 11:55
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
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