初夢

正月の朝、初詣に出かけた。
今年はいい年になるようにとさい銭を奮発して、いい気分で参道を歩く。
露店が並び、いい匂いが漂っている。

すると「思い通りの初夢が見られるお札」というのを見つけた。
この頃寝付きが悪くて、悪夢ばかり見るから、正月くらいは良い夢が見たい。
そんなことを思って、一枚買って帰ることにした。

その夜。
どんな夢がいいかと、あれこれ考えながら布団に入る。
やはりここは一富士二鷹三茄子、だろうか。
もっとこう、気分の良くなるような、夢でこそできるようなのがいいな。何だろう。

翌朝、すっきりと目が覚めた。夢を見た覚えはない。
偽物か、と思ったが、身体が妙に軽い。頭も冴えているような気がする。

そういえば。
眠りに落ちる直前に考えたのは「気持ちよく眠りたい」だった。