ゆかりのち晴れ

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朝食を食べながらテレビを見ていると、お転機キャスターが笑顔で言う。
「今日は縁前線の影響で各地で記録的な縁が結ばれるでしょう。お出かけの際はユカサをお忘れなく」
出勤の支度を済ませると玄関で母に虹色に輝く傘を渡された。
「何これ?」
「何って新しいユカサ」
「傘なんかささずに濡れた方が縁起良くない?」
「降ってくるのは良い縁ばかりじゃないの。ユカサなら悪い縁を弾いて良い縁だけ通してくれるから」
そう言って母は私の手にユカサを握らせた。

転機予報の通り、午後から縁が土砂降りになった。帰り際に会社の玄関で同僚の男性が縁色の空を見上げて溜息をついていた。
「ユカサ忘れちゃったよ。僕は悪い縁ばかり引き寄せちゃうんだよなあ」
私はユカサを広げて彼に言う。
「よかったら入ります?」
「ありがとう」
私達は相合傘で縁の降る中を歩いた。何だか頰が熱い。
ユカサをすり抜けた良縁が私達の肩を温かく濡らした。
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公開:20/12/31 23:00
更新:20/12/31 20:08
コンテスト

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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