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土曜の午後。私は、地元の商店街を散歩していた。

見慣れない店を見つけ、入ってみる。
ケースに並んでいるのは、途中まで使った鉛筆、書きかけの原稿用紙、飲みかけのお茶。
何屋なんだろうと悩んでいると、店主がやってきた。
「これは、見ての通り『途中』の品々です」
確かに、途中というかやりかけというか……。
「そんな『途中』を必要な人に引き継ぐのがこの店です」
売れるんだろうか?
「売れますよ。その物の知識や経験を引き継げるんですから」
友達にゲームソフトを借りたら途中まで進めてあった、みたいなことか。便利かもしれない。

と、日記帳が目に入った。
ぱらぱらとめくった後、私は買うことにした。

これは私が、小学生の時につけていた日記帳。一ヶ月だけ書いたのを覚えていた。
存在を忘れていたけど、こんなところで出会うとは。
誰かの途中を継ぐのも面白いけど、自分の続きがきっと、いちばん、面白いだろう。
ファンタジー
公開:20/12/31 17:59

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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