0
2
「あせらず、急げ」
先輩の口癖だ。
天才と呼ばれた私の憧れの人は、雪の降る寒い日、天に召された。
数年後、大学を卒業した私は、企業の研究室で働いていた。
AIの教師データ制作が私の仕事だ。
やりがいに溢れ、気の合う上司(モニタの中にいるAIだけど)とのやりとりは、満たされた時間だった。
ところがここ数ヶ月、研究が滞っていた。
「八方ふさがり……か」
ひとりごちると、窓の外を見た。雪がちらついている。もうすぐ、今年も終わるのだ。
「先輩なら、こんな時どうするんだろう」
最後まで諦めなかった先輩の、優しい目を思い浮かべる。
と、私の声を認識し、AI上司が話しかけてきた。
「先輩は、こんなとき何と言うんだい?」
「それはきっと──『あせらず、急げ』」
「正解。さあ、話をしようじゃないか。あの頃のように、ね」
驚いて、私は振り向いた。
画面の中、先輩があの頃と同じ笑顔を浮かべていた。
先輩の口癖だ。
天才と呼ばれた私の憧れの人は、雪の降る寒い日、天に召された。
数年後、大学を卒業した私は、企業の研究室で働いていた。
AIの教師データ制作が私の仕事だ。
やりがいに溢れ、気の合う上司(モニタの中にいるAIだけど)とのやりとりは、満たされた時間だった。
ところがここ数ヶ月、研究が滞っていた。
「八方ふさがり……か」
ひとりごちると、窓の外を見た。雪がちらついている。もうすぐ、今年も終わるのだ。
「先輩なら、こんな時どうするんだろう」
最後まで諦めなかった先輩の、優しい目を思い浮かべる。
と、私の声を認識し、AI上司が話しかけてきた。
「先輩は、こんなとき何と言うんだい?」
「それはきっと──『あせらず、急げ』」
「正解。さあ、話をしようじゃないか。あの頃のように、ね」
驚いて、私は振り向いた。
画面の中、先輩があの頃と同じ笑顔を浮かべていた。
ファンタジー
公開:20/12/30 17:32
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます