夫婦の愛しょうゆ

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食べ物の趣味から着る服の好みまで私達はまったく合わない。今朝も目玉焼きには醤油派の私はソース派の彼と喧嘩になってしまった。なぜこれほど価値観の合わない人と結婚したのかしら。つくづく縁の不思議さを思う。
彼が仕事に行った後、洗濯物を干しながらベランダで溜息をついていると一人のセールスマンが訪ねてきた。
「旦那さんとの相性にお悩みなら、こちらの愛しょうゆを食事に使えば何もかも相性バッチリの夫婦円満になれますよ」
迷うことなくその醤油を買った。

翌朝、彼が目玉焼きに醤油をかけたいと言い出した。
「昨日は絶対にソースだって譲らなかったじゃない?」
「うん、醤油も試してみようかなって。昨日はごめん。本当に俺達合わないな。でもまったく合わないからこそ人生の面白さも二倍になって楽しいよね」
「そう、なんだ」
私は醤油の瓶を彼に手渡す。
まだ愛しょうゆに入れ替える前だったからホッと安堵の笑みを漏らして。
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公開:20/12/23 17:00
コンテスト

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



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