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ある日、結婚相談所で不思議なリールを渡された。
「そちらはユカリールです。手首にはめてレバーを回せば運命の人を引き寄せます」
帰り道、ユカリールを手首にはめてレバーを回してみた。リールが光を放ち、小指の先から輝く赤い糸が伸びた。更にリールを巻くと糸がピンと張り、体ごと引っ張られる。
道行く人々の間を縫うように進み、ある街角で一人の男性と正面衝突。
「すみません」
「失礼」
顔を上げるとお互いにマスクをしていた。
家に帰ると男性のことが気になって仕方ない。でも名前も連絡先も訊くことなく別れてしまった。顔すら分からない。
「もう逢えないのかな」
私は男性と別れた街角へ行ってみた。もちろん彼はいない。
そのとき、手首のリールが巻かれて体が引っ張られ、人々の行き交う交差点のただ中であの男性に抱きとめられた。
「逢いたかった」
男性の手首にはユカリールが光り、お互いの小指を輝く赤い糸で繋いでいた。
「そちらはユカリールです。手首にはめてレバーを回せば運命の人を引き寄せます」
帰り道、ユカリールを手首にはめてレバーを回してみた。リールが光を放ち、小指の先から輝く赤い糸が伸びた。更にリールを巻くと糸がピンと張り、体ごと引っ張られる。
道行く人々の間を縫うように進み、ある街角で一人の男性と正面衝突。
「すみません」
「失礼」
顔を上げるとお互いにマスクをしていた。
家に帰ると男性のことが気になって仕方ない。でも名前も連絡先も訊くことなく別れてしまった。顔すら分からない。
「もう逢えないのかな」
私は男性と別れた街角へ行ってみた。もちろん彼はいない。
そのとき、手首のリールが巻かれて体が引っ張られ、人々の行き交う交差点のただ中であの男性に抱きとめられた。
「逢いたかった」
男性の手首にはユカリールが光り、お互いの小指を輝く赤い糸で繋いでいた。
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公開:20/12/04 12:00
縁
コンテスト
空想と妄想が趣味です。
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