縁距離恋愛

10
8

そこそこ盛り上がったデートの最後は夕陽の見える海辺のレストランでのディナーだった。グラスを手に彼が私に微笑む。
「君の瞳に乾杯!」
そうキザに言われて、素晴らしい夕陽も台無しになった。
「ないな」
私は手元のスマホに表示された「中止」のボタンをタップした。
途端に周囲の景色がパズルのピースのようにバラバラになって消える。笑顔のまま停止したキザ男も破片になって消え去った。
溜息をついてスマホを見る。そこには「縁距離恋愛アプリ」の画面があった。近頃はこのアプリを使っていつでもどこでも仮想空間で恋愛相手を探すことができる。でも運命の良縁となると難しい。
気分転換に公園へ散歩に行った。一人の男性がベンチでスマホを見ていた。顔を上げると私にむかって微笑む。
「まさかこれが運命の恋?」
私が微笑んだ瞬間、男性は笑顔を消し、「チェンジ」と言ってスマホをタップした。
私の体が周囲の景色と共に弾けて消えた。
SF
公開:20/10/29 21:00
更新:20/10/29 13:21
コンテスト

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容