母の遊縁地

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日々の生活が忙しすぎてお洒落をすることも忘れていた私は鏡に自分の顔を映して愕然とした。いつのまにか目尻や額に皺が寄っていた。
「あら、いい感じじゃない。でもまだまだね」
隣で鏡の中の私を見ていた母が笑顔で言う。その顔にはなぜかカラフルなパックが付けられている。
「良い所に連れて行ってあげるからちょっと付いていらっしゃい」
そう言って母は私を近所の空き地に連れて行った。
「この辺でいいかしら」
母は顔からパックを取ると地面の上に置いた。するとパックがムクムクと大きく膨らんで遊園地になった。パックに残された皺が立体的に浮き立ち、遊具施設となって輝く。
「ここは人生の素敵なご縁を皺として顔に刻んだ私の遊び場。名付けてしわしわ遊縁地よ。あなたも人とのご縁を大切にする笑い皺を顔に刻みなさい」
青空の下、母の遊縁地に老若男女の笑い声が響く。
笑顔が新たな縁を結んでいく光景を眺めて思わず笑みがこぼれた。
ファンタジー
公開:20/10/08 17:00
更新:20/10/08 17:03
コンテスト

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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