夢追いレース

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何もかもがうまくいかずに夢破れ、バッタリと倒れ伏した私に不思議な声が聞こえてきた。
「さあ、この夢追いレースに出場している美希選手、数々の挫折トラップに絶望のどん底です! もはやここで夢の脱落者となってしまうのか!」
私にはもう一歩を踏み出す気力すら残ってはいなかった。やはり夢を叶えるなんて私には無理だったのだ。
「あーっと、完全に自信喪失! このまま諦めてしまうのか! おおっと、会場からの声援です! 誰もが彼女に向かって頑張れと叫んでおります! 大声援だ!」
その声援の中には数少ない友達や家族の声も混じっていた。
「たとえ叶わなくても、命ある限り目指し続けてもいいじゃない!」
そう叫んだのは、過去の私。そうか、このレースに立ち向かうのは私、自分自身だ。
「おっと、美希選手、立ち上がりました! そして歩き出した! レース再開です!」
まだゴールは見えない。でも命ある限り、私は夢を諦めない。
青春
公開:20/08/16 14:07
更新:20/08/16 14:13
空想競技 コンテスト

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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