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マラトーク――それは、古代ギリシャにてペルシャ軍との戦いに勝利したことを告げる伝令がマラトンからアテナイまで走ったことに因んで生まれたという競技。時は流れ、近代ではマラトークのルールは極めてシンプルになった。愛する相手へと走っていって思いを伝えること。相手との距離がどんなに遠く離れていようとも自らの足で地を駆け、海を泳ぎ渡り、愛を叫ぶこと。
競われるのは速さでも距離でもない。相手をどれだけ思い、純粋な熱い気持ちをまっすぐに伝えられるかで勝敗が決まる。
そしてある日、部屋で太宰治全集を読んでいた私の下にもついに愛の伝令が駆け込んできた。全身傷だらけで服もボロボロだったけれど、筋骨逞しいイケメン。彼が号泣しつつ私にむけて叫ぶ。
「セリヌンティウスよ、私を殴れ!」
「は?」
「だから、私だ、君の心の友、メロスだよ!」
「いや、作品違うし、私は寺内セリナだから」
壮大な勘違いと人違いだった……。
競われるのは速さでも距離でもない。相手をどれだけ思い、純粋な熱い気持ちをまっすぐに伝えられるかで勝敗が決まる。
そしてある日、部屋で太宰治全集を読んでいた私の下にもついに愛の伝令が駆け込んできた。全身傷だらけで服もボロボロだったけれど、筋骨逞しいイケメン。彼が号泣しつつ私にむけて叫ぶ。
「セリヌンティウスよ、私を殴れ!」
「は?」
「だから、私だ、君の心の友、メロスだよ!」
「いや、作品違うし、私は寺内セリナだから」
壮大な勘違いと人違いだった……。
青春
公開:20/08/05 13:00
空想競技
コンテスト
空想と妄想が趣味です。
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