銀河リレー

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朝食後の休憩を終えると、僕はバトンを握り、操縦席代わりのルームランナーに足を乗せて走り出した。宇宙船は自動運転から足動に切り替わり、高速で闇の宇宙を進む。一体誰が始めたのかもわからない銀河リレー。遠い過去に宇宙船の中に数組の男女が乗せられ、惑星間を巡るレースは始まった。通信機としてのバトンと命を何世代にも亘って引き継ぎ、とうとう船内には僕独りだけ。奇しくも僕はアンカーになった。物心つく前から両親より走り方を仕込まれた僕の世界はこの宇宙船の中だけだ。それもようやく終わる。まもなくゴールである地球に帰還することができる予定だった。映像でしか知らない地球がどんな場所なのか期待は膨らむ。同時にスタートした他の宇宙船もまだ地球を目指しているのだろうか?

そしてついに宇宙船が地球に到着した。
ところがそこに浮遊していたのは夢にまで見た青い星ではなく、無数の小惑星――粉々に砕けた地球の残骸だけだった。
SF
公開:20/07/30 17:00
更新:20/07/30 12:59
空想競技 コンテスト

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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