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「しまった…どうしよう…!」
私は、目の前の光景を呆然と眺めていた…。
台所ではトマトの妖精とナスの妖精が夕食の献立をめぐって争っていた。トマトの妖精はトマトソースで作るパスタがいいと主張し、一方のナスの妖精は麻婆茄子がいいに決まっていると一歩も譲る気配はない。私としてはどっちも食べたいけど、そんなことを言おうものなら「この優柔不断!」となじられることだろう。ああ、なぜこんなことになってしまったのか…。
少し前、近所の八百屋に野菜を買いに行くと店主のおじさんに「夏野菜の扉」を勧められたのだ。おじさんは私の掌に小さな扉を載せて言った。
「これを夏野菜に取り付けるとその扉から妖精が出てきて料理を作ってくれるんだ。おひとつどうだい」
試しにいくつか買って家に帰るとトマトとナスに取り付けた。するとそれぞれの扉から妖精が出てきて今のような状況になってしまったというわけ…。
私はある考えを思いついた。
私は、目の前の光景を呆然と眺めていた…。
台所ではトマトの妖精とナスの妖精が夕食の献立をめぐって争っていた。トマトの妖精はトマトソースで作るパスタがいいと主張し、一方のナスの妖精は麻婆茄子がいいに決まっていると一歩も譲る気配はない。私としてはどっちも食べたいけど、そんなことを言おうものなら「この優柔不断!」となじられることだろう。ああ、なぜこんなことになってしまったのか…。
少し前、近所の八百屋に野菜を買いに行くと店主のおじさんに「夏野菜の扉」を勧められたのだ。おじさんは私の掌に小さな扉を載せて言った。
「これを夏野菜に取り付けるとその扉から妖精が出てきて料理を作ってくれるんだ。おひとつどうだい」
試しにいくつか買って家に帰るとトマトとナスに取り付けた。するとそれぞれの扉から妖精が出てきて今のような状況になってしまったというわけ…。
私はある考えを思いついた。
ファンタジー
公開:20/07/27 22:17
夏野菜の扉
大原さやかさん
朗読
月の音色
第160回
リレー小説
空想と妄想が趣味です。
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