エンドレス着ぐるみ

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 商店街にゾウの着ぐるみがいた。ぼくはその前で足を止めた。
「お店の宣伝なのかな?」
 ゾウは答えず、着ぐるみを脱ぎ始めた。中から一回り小さいサイズのクマの着ぐるみが出てきた。
「すごいや。手品だったんだね」
 クマが着ぐるみを脱ぐと、中からウマの着ぐるみが出てきた。ウマが着ぐるみを脱ぐと、中からイヌの着ぐるみが出てきた。イヌが着ぐるみを脱ぐと、中からネコの着ぐるみが出てきた。ネコが着ぐるみを脱ぐと、中からウサギの着ぐるみが出てきた。ウサギが着ぐるみを脱ぐと、中からネズミの着ぐるみが出てきた。
 着ぐるみが脱がれる度にどんどん小さくなっていって、ネズミのときには手のひらに乗るくらいになった。人間が入れるサイズではない。ぼくはこわくなって逃げ出した。
 次の日にそこへ行くと着ぐるみはいなかった。ふと思いついて、虫めがねを持ってきて地面を見ると、ミジンコが着ぐるみを脱ぎ始めたところだった。
ファンタジー
公開:20/09/27 11:38

ちる

小説を書くのが好きなので、登録してみました。
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