もしもヴィジョン
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ある日、娘が男を家に連れてきた。緊張した面持ちで男が言う。
「娘さんを私にください!」
即座に反対した。大切に育てたひとり娘を見るからに軽薄そうなこの男の下に嫁がせるわけにはいかない。私は研究室に行くと「もしもヴィジョン」を持って居間に戻った。
「この機械のボタンを押してみなさい」
「何ですか、それ?」と男が言った。その隣でウンザリした顔をしている娘を無視して私は答える。
「私の発明品だよ。君が私の娘と結婚した場合のもしもの未来が見えるはずだ」
男がスイッチを押すと途端に私達の目の前に未来の映像が現れた。
予想に反して娘は男と幸せな家庭を築いていた。仏壇には私の写真があった。
機械の電源をオフにすると私は言った。
「君達の自由にしなさい」
はるばる先の未来に私はもはや存在していない。そう思った瞬間、娘の幸せを心から願うことができた。
やはり、このようなものを作り出せる私は最高の発明家だ。
「娘さんを私にください!」
即座に反対した。大切に育てたひとり娘を見るからに軽薄そうなこの男の下に嫁がせるわけにはいかない。私は研究室に行くと「もしもヴィジョン」を持って居間に戻った。
「この機械のボタンを押してみなさい」
「何ですか、それ?」と男が言った。その隣でウンザリした顔をしている娘を無視して私は答える。
「私の発明品だよ。君が私の娘と結婚した場合のもしもの未来が見えるはずだ」
男がスイッチを押すと途端に私達の目の前に未来の映像が現れた。
予想に反して娘は男と幸せな家庭を築いていた。仏壇には私の写真があった。
機械の電源をオフにすると私は言った。
「君達の自由にしなさい」
はるばる先の未来に私はもはや存在していない。そう思った瞬間、娘の幸せを心から願うことができた。
やはり、このようなものを作り出せる私は最高の発明家だ。
SF
公開:20/06/24 07:00
はるばる先に
将来
空想と妄想が趣味です。
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