21
13
ある日、隣の奥さんが訪ねてきた。
「ソラミミが庭にいっぱいなったからお裾分けに。天ぷらにすると美味しいわよ」
そう言って奥さんは朗らかな笑顔で新聞紙の包みを差し出す。
え? ソラミミって? ソラマメの間違いじゃない?
「わざわざすみません」
愛想笑いを浮かべつつ包みを受け取り、台所で開けてみるとそれは確かにソラミミとしか呼びようのない物体だった。空色で耳の形をした不思議な野菜。言われた通り天ぷらにしてみた。
「何これ。めちゃくちゃ美味しい」
隣の奥さんにお礼を言いに行くとウチを訪ねたことなどないし、ソラミミのことも知らないという。家に帰ると友達から「あなたに貰ったソラミミ、天ぷらにしたら美味しかったよ」と電話があった。
私はまったく覚えがない。
まさか、これがソラミミの魔力? それともこの話そのものが私の空耳に過ぎないのかしら?
さっき揚げたばかりのソラミミの天ぷらは皿の上から消えていた。
「ソラミミが庭にいっぱいなったからお裾分けに。天ぷらにすると美味しいわよ」
そう言って奥さんは朗らかな笑顔で新聞紙の包みを差し出す。
え? ソラミミって? ソラマメの間違いじゃない?
「わざわざすみません」
愛想笑いを浮かべつつ包みを受け取り、台所で開けてみるとそれは確かにソラミミとしか呼びようのない物体だった。空色で耳の形をした不思議な野菜。言われた通り天ぷらにしてみた。
「何これ。めちゃくちゃ美味しい」
隣の奥さんにお礼を言いに行くとウチを訪ねたことなどないし、ソラミミのことも知らないという。家に帰ると友達から「あなたに貰ったソラミミ、天ぷらにしたら美味しかったよ」と電話があった。
私はまったく覚えがない。
まさか、これがソラミミの魔力? それともこの話そのものが私の空耳に過ぎないのかしら?
さっき揚げたばかりのソラミミの天ぷらは皿の上から消えていた。
ファンタジー
公開:20/06/01 19:51
空耳
月の音色
月の文学館
大原さやかさん
朗読
第156回
空想と妄想が趣味です。
ログインするとコメントを投稿できます