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田舎町の夕暮れは、どこか寂しく、もの悲しい。
道沿いには崩れかけた廃屋がぽつんと建っていて、さびの浮いた自動販売機が置かれていた。
ときおり、車が追い抜いていく。
ふと見ると、波打ち際に光るものが落ちているのを見つけた。
ガラスの瓶だった。中に何か入っている。
近づいて見ると、くしゃくしゃになったネクタイが詰め込まれていた。
「…それは、あなた宛ての手紙ですな」
突然の声に振り向くと、白髪の老人が立っていた。
「ここは、無くしものが届く海岸なんですよ。ただし…」
「それが過去に無くしたのか、これから未来に無くすのかは、分かりませんがな」
それは、どういう意味──
言い掛けた言葉が宙にあるうちに、老人は居なくなって…いや、消えていた。
それからしばらく、瓶の中のネクタイを眺めていた。
この町を出て、仕事を始めるつもりだった。
…けれど、もう一度、考えてみようと思い至った。
道沿いには崩れかけた廃屋がぽつんと建っていて、さびの浮いた自動販売機が置かれていた。
ときおり、車が追い抜いていく。
ふと見ると、波打ち際に光るものが落ちているのを見つけた。
ガラスの瓶だった。中に何か入っている。
近づいて見ると、くしゃくしゃになったネクタイが詰め込まれていた。
「…それは、あなた宛ての手紙ですな」
突然の声に振り向くと、白髪の老人が立っていた。
「ここは、無くしものが届く海岸なんですよ。ただし…」
「それが過去に無くしたのか、これから未来に無くすのかは、分かりませんがな」
それは、どういう意味──
言い掛けた言葉が宙にあるうちに、老人は居なくなって…いや、消えていた。
それからしばらく、瓶の中のネクタイを眺めていた。
この町を出て、仕事を始めるつもりだった。
…けれど、もう一度、考えてみようと思い至った。
ファンタジー
公開:20/07/18 01:47
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
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