コンビニ・ドリーム支店

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最近、夢の中にコンビニがオープンした。まさにコンビニ・ドリーム支店。真夜中という時間帯、レム睡眠に入ると人々の夢の中にその店は現れる。記憶や意識を反映して、訪れる人それぞれが今、最も欲しいと思う商品が店内に並ぶ。これほど便利な店があるだろうか?
幼馴染との昔話で盛り上がって眠りについたある夜、私はその店を訪れた。店の棚には私が子供の頃に好きだったお菓子やアイス、雑誌、懐かしい文房具までが並んでいた。レジに立つ店員は私が小学生のとき近所にあった雑貨屋のお婆ちゃんだった。
「いらっしゃい」
お小遣いを握りしめて必死に駄菓子を選んだあの頃。当時と少しも変わらない笑顔でお婆ちゃんは私を迎えてくれる。少女の頃に大好きだったアイスを差し出す私の頬を涙が伝った。
またこの店を訪れても、お婆ちゃんには逢えないかもしれない。
何せこれは、まったく同じ店を訪れることが難しい、たった一夜の夢に過ぎないのだから。
ファンタジー
公開:20/07/07 07:00
真夜中のコンビニ

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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