便利な発明品

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最近、冷蔵庫の中に買った憶えのない食べ物が入っていることが多くなった。脳科学者の助手を務める私は博士に訊ねた。
すると博士は手を叩いて喜んだ。
「うむ、それこそ我が実験の成果だ」
博士曰く、真夜中に私の家に忍び込み、眠っている私の頭にある機械を装着して実験をしていたらしい。
「その発明品こそ、人が寝ている間に体を操作して近所のコンビニで買い物をしてくれる装置だ」
「何のために?」
「現代人は忙しい。買い物に行く暇もない。寝ている間に買い物が出来たら便利じゃないか」
「それはそうですけど……」

数日後、私が真夜中に自宅の冷蔵庫の前で待っているとコンビニの袋を手にした博士がやってきて、私の好物のスイーツを次々と庫内に入れていった。眠ったままの博士の頭には例の装置が光っている。
「うん、大成功」
こっそり装置を改造して、眠っている博士に取り付けたのだ。
お返しにこれくらいしたっていいでしょ?
SF
公開:20/07/06 07:00
真夜中のコンビニ

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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