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近頃、何度も同じ夢を見る。霧のたち込める道のはるばる先に赤い扉が見える夢だ。扉の先に何があるのかという好奇心に駆られて、私は道を歩いている。そしてその扉の前までやってきて、開けようとするところで目が覚めてしまう。その繰り返しだった。
夢から覚めても、赤い扉の先に何があるのか気になって仕方がない。そこで睡眠薬を飲んで、扉を開ける前に目が覚めないようにした。だがどうしても扉を開ける直前で目が覚めてしまう。段々と薬の量が増え、睡眠時間が長くなった。しまいには出勤する朝も起きられず、妻に起こされる始末だった。
やがて、私は途中で目が覚めることなく赤い扉を開けた。
その先に待っていたのは見慣れた日常の風景だった。だが妻も子供達も眠ったまま、どうやっても目覚めない。私以外の全ての人々が覚めることのない眠りについた静寂の世界。赤い扉は消えていた。
今いるこの場所が夢なのか、現実なのか、わからなかった。
夢から覚めても、赤い扉の先に何があるのか気になって仕方がない。そこで睡眠薬を飲んで、扉を開ける前に目が覚めないようにした。だがどうしても扉を開ける直前で目が覚めてしまう。段々と薬の量が増え、睡眠時間が長くなった。しまいには出勤する朝も起きられず、妻に起こされる始末だった。
やがて、私は途中で目が覚めることなく赤い扉を開けた。
その先に待っていたのは見慣れた日常の風景だった。だが妻も子供達も眠ったまま、どうやっても目覚めない。私以外の全ての人々が覚めることのない眠りについた静寂の世界。赤い扉は消えていた。
今いるこの場所が夢なのか、現実なのか、わからなかった。
ホラー
公開:20/05/04 06:46
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大原さやかさん
朗読
月の文学館
はるばる先に
第154回
空想と妄想が趣味です。
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