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王家に産まれた者は、結婚相手を自分で決められないのは仕方がない。

だけど、大人の仲間入りし、初めてのお披露目の場でその相手(お父様とほとんど歳が変わらない)が決まり、程なくして母国を離れることになるなんて。

そのうえ、嫁ぎ先には先の王妃が遺した幼い姫君がおり、その姫君の乳母から良き母に。と懇願されたが、姫君は私に寄りつきもしない。

また、大臣から世継ぎとなる男児を。と懇願されているが、王は私に会おうともしない。

私は夜な夜な鏡に問いかける。

鏡は成長していく姫君の姿を見せる。

鏡は、亡き先の王妃の姿に似た者と、密会を繰り返す王の姿を見せる。

そして、先の王妃の姿絵と同じ姿へと成長した姫君を、夜毎呼び寄せる王の姿を見せる。

私は決意する。姫君を護るためにこの命を懸けよう。

犯してはならない大罪の犠牲者にさせないために。
ファンタジー
公開:20/05/04 04:16
更新:20/05/04 12:19

大西洋子( 滋賀 )

ショートショート、童話中心に活動しています。

ショートショートガーデン空想競技2020入賞


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