0
3
僕の父は作家だ。
文芸誌の連載の合間に単行本向けの原稿を執筆し、ドラマの脚本も書く。〆切直前の鬼気迫る様子は、声が掛けられないほどだ。
そんな父の影響か、兄も創作の道を選んだ。
マンガ家として連載を持ち、机に向かっている。兄曰く、〆切があるから描ける、という。父も同意していた。
母は専門学校講師で、学生を卒業までに就職させるのが仕事だ。
家族の中で、僕だけ〆切がない。
見つけられていない。
なぜなら僕は、不死の身体だからだ。
病気、怪我や老衰で死なないから、無限の時間がある。
そのせいか、期限があるということ自体がピンとこないでいた。
自分にとっての〆切を見つけたら、不死ではなくなるそうだ。
父も母も、そうやって有限の命を手に入れたという。
僕も〆切を見つけたら、家族の苦しみと……喜びが分かるのだろうか。
その期限は、今のところまだ、ない。
文芸誌の連載の合間に単行本向けの原稿を執筆し、ドラマの脚本も書く。〆切直前の鬼気迫る様子は、声が掛けられないほどだ。
そんな父の影響か、兄も創作の道を選んだ。
マンガ家として連載を持ち、机に向かっている。兄曰く、〆切があるから描ける、という。父も同意していた。
母は専門学校講師で、学生を卒業までに就職させるのが仕事だ。
家族の中で、僕だけ〆切がない。
見つけられていない。
なぜなら僕は、不死の身体だからだ。
病気、怪我や老衰で死なないから、無限の時間がある。
そのせいか、期限があるということ自体がピンとこないでいた。
自分にとっての〆切を見つけたら、不死ではなくなるそうだ。
父も母も、そうやって有限の命を手に入れたという。
僕も〆切を見つけたら、家族の苦しみと……喜びが分かるのだろうか。
その期限は、今のところまだ、ない。
ファンタジー
公開:20/05/04 03:45
更新:20/05/06 14:20
更新:20/05/06 14:20
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます