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我が家には賞味期限がある。
私達の腕には2行のデジタル数字が浮かび上がっている。上が賞味期限、下がカウントダウンを続ける残り時間。あと2時間を切っていた。
私達は食卓につくと思い出を語り合った。
それは美しいものばかりではなく醜いものもあった。それでも今日まで一緒にいられたのは家族だったから。
「どうしてかしら? あんなにくだらないことで言い争ったり……でも、今ではすべてが愛しい」
母の言葉に私と父は微笑みながら頷いた。
「じゃあね」
賞味期限が残り30秒を切ったとき、私達は別れを告げた。そして腕に光る数字がゼロになった。
……何も起きない。
父がはっとして言った。
「そうか。俺達家族にあるのは賞味期限であって消費期限じゃない。多少風味は落ちるかもしれないが、二度と味わえなくなるわけじゃないんだ。これからもずっと一緒に酸いも甘いも噛み分けようじゃないか」
私達は互いの肩を抱いて泣いた。
私達の腕には2行のデジタル数字が浮かび上がっている。上が賞味期限、下がカウントダウンを続ける残り時間。あと2時間を切っていた。
私達は食卓につくと思い出を語り合った。
それは美しいものばかりではなく醜いものもあった。それでも今日まで一緒にいられたのは家族だったから。
「どうしてかしら? あんなにくだらないことで言い争ったり……でも、今ではすべてが愛しい」
母の言葉に私と父は微笑みながら頷いた。
「じゃあね」
賞味期限が残り30秒を切ったとき、私達は別れを告げた。そして腕に光る数字がゼロになった。
……何も起きない。
父がはっとして言った。
「そうか。俺達家族にあるのは賞味期限であって消費期限じゃない。多少風味は落ちるかもしれないが、二度と味わえなくなるわけじゃないんだ。これからもずっと一緒に酸いも甘いも噛み分けようじゃないか」
私達は互いの肩を抱いて泣いた。
公開:20/04/09 14:00
更新:20/04/09 11:19
更新:20/04/09 11:19
〇〇家族
コンテスト
隕石家族
空想と妄想が趣味です。
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