マトリョーシ家族

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ロシアを旅行中に僕はアンナと出逢った。その青い瞳に一瞬で心を奪われた。ほどなく僕らは恋人同士となった。プロポーズすると彼女の表情が曇る。
「嬉しいけどそれは無理」
「なぜ?」
「私の家はマトリョーシ家族だから」
「マトリョーシカ族?」
アンナは頷く。
納得できない僕は父親に談判に行った。彼女の父はマトリョーシカ職人だった。
「我が家は代々、夫が妻の体から新たな子孫となるマトリョーシカを彫り出す習わしなのだ。手を見たところ、君には無理だ。娘との結婚は諦めてくれ」
僕は父親に弟子入りを志願した。僕の熱意に根負けしたのか彼は修行を認めてくれた。ただし期限は3年間。その間に芽が出なかったらアンナとは二度と逢わない。

3年後、僕は修行を終えた。そしてアンナの中に二人の愛の結晶であるマトリョーシカの姿が見えたとき、結婚を許された。今では妻から彫り出した可愛い子供達にも恵まれ、幸せな日々を送っている。
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公開:20/04/10 12:00
更新:20/04/10 11:23
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空想と妄想が趣味です。

 

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