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いつの頃からか、人々の間には「心の山」が聳え立つようになった。人と人を繋いでいた心の絆が壊れて、心と心の間に溝が生じると、そこに高い山が現れ、二人を引き離してしまう。僕もほんの些細な喧嘩が原因で、愛する人との間に険しい山が築かれてしまった。一時的な怒りが冷めると、僕は彼女が愛しくてたまらず、心の山を越えて逢いに行くことにした。
山の所々には彼女と過ごした懐かしくも美しい日々が森や湖となって輝いていた。それは僕達の愛の記憶そのものだった。やがて天候が急速に変わって空に暗雲がたれこめ、嵐となった。かつて二人の間に吹き荒れた諍いの嵐を乗り越えなくては。彼女にただ一目逢いたい気持ちだけを胸に僕は山肌にしがみついた。
嵐を何とかやり過ごすと、澄んだ青空には小鳥が歌い、虹が架かった。足元には見たことのない色とりどりの花畑が一面に広がる。

その花畑のはるばる先には愛する人が立ち、笑顔で手を振っていた。
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公開:20/05/12 07:00
はるばる先に

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



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