猫の商店街

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ある日、近所を散歩をしていると、塀の上を猫が一列になって歩いていた。その列についていくと、狭い路地へと入っていく。こんな所に道なんてあったっけと首を傾げながらも猫達のおしりを追った。そのはるばる先には古びた木の扉があった。猫達はひょいひょいとジャンプして扉の向こうに消えた。私も扉を開けるとその先に足を踏み入れた。
そこにはどこか懐かしい商店街があった。駅前に大型スーパーが出来て以来、姿を消してしまった個人商店が軒を連ねる温かな街の風景。しかも、そのお店を営んでいるのは猫達だった。先を行く猫達も賑やかに鳴いて買い物を始めた。そうか、ここは猫達の秘密の商店街なのだ。
私は肉屋で揚げたてサクサクのコロッケを買って食べながら街歩きを楽しんだ。夕陽に街が染まる頃、私は路地から出た。やって来た知り合いの奥さんに笑顔で頭を撫でられると、煮干しを差し出された。

私はいつのまにか猫になってしまったらしい。
ファンタジー
公開:20/05/11 12:00
はるばる先に 商店街

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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