キリンの驚嘆すべき進化

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 人類が絶滅して久しいが、地球には人類の影響が残されていた。温暖化によって北極の氷が溶け、水位が上昇したのだ。そのため、地球の陸地は格段に少なくなった。
 その中でキリンは独自の進化を遂げていた。身体が水に溶けることができるようになったのだ。これで高いところの草だけでなく、水草も食べられる。陸地が少なくても生きていける。水中で複数のキリンが混じり合って一匹になってしまうことがよくあったが、キリンにとって大した問題ではなかった。生き残ることが大切なのだ。
 他の生き物もこれと同じように進化した。長い、長い時間が過ぎ、すべての生き物が水に溶けられるようになった。生き物たちは住処を海中に移していった。海中で、液状になった様々な生き物が混じり合う。キリンか、トラか、アナグマかというような生物としての違いももはや意味はなかった。すべての生命が混じり合った海ができた。地球は、原初の姿に戻ったのだった。
SF
公開:20/05/10 15:49
更新:20/05/12 23:49

ちる

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