ねがい銀行

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「ええ、つまりここはお客さまの願いをお預かりする銀行でございます」
「そんなもの預けて、どうするのかね」
「たとえば、将来叶えたいが今は取り組めない、という願いがあるとしますね。そういったものを預けていただければ、その願いに悩まされなくてすみます」
「定年後の夢なんかを預けておけるわけか」
「その通りです。一度預けると、決まった期間中は取り出せません」
「それなら、これとこれをお願いしたい」
 私はその銀行を出た。肩の荷が降りたような気持ちだった。

 次の日、会社から休みをとるように言われた。有給をずいぶん余らせてしまっていた。私は一週間の休みを手に入れた。しかし、休みになったらやりたかったことはどうしても思い出せなかった。
ファンタジー
公開:20/05/06 07:47

ちる

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