物語の庭師たち

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その世界では奇病が蔓延していた。目に見えない病魔が人々に襲いかかり、次々と命を奪っていたのだった。人々の心は荒み、病に感染することを恐れて疑心暗鬼にとらわれ、謂れなき差別や言葉の暴力が世界を覆っていた。病の特効薬は優秀な薬師たちにより速やかに作られよう。だが、人々の心を蝕む不安と恐怖はすぐには癒えなかった。
世界の片隅の、深い森の奥に小さな「物語の花」を咲かせる庭があった。その園を管理する庭師たちは日々、各々の心という土を耕し、そこに想像力という種をまいた。やがて空から喜びと悲しみの涙が降り、新たな物語の花が咲く。その鮮やかな色と香りは不安と恐怖に駆られた人々の心を癒し、生きる勇気を与えてくれた。

今日も物語の庭師たちは各々の歌を口ずさみながら陽気に土を耕し、種をまき、命の風が涙の雨雲を運んでくる時を待つ。
自分達の育てた儚くも清らかな物語の花の色と香りが人々の心を癒すことを願って。
ファンタジー
公開:20/02/27 12:31
更新:20/02/27 20:27
祝20000作突破 庭師たちに祝福を

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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