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高校一年の冬、私は神社で仔猫を拾った。白猫なのにお腹の所にだけ大の字に見える黒い模様がある。私はその子を大吉と名づけた。
それ以来、私の毎日に幸運が舞い込んだ。といっても、学校の売店でクリームパンの最後の一個を運良くゲットできたり、片想いの男の子にバレンタインのチョコを受け取って貰えたりと細やかな幸せだったけれど。大吉は普通の猫と変わらない。それでも私にとっては幸運の使いだった。
高校三年の冬、受験勉強が捗らなくて焦っているときも膝の上に乗ってきた大吉を撫でていると心が安らいだ。試験本番の日も膝の上の大吉の温もりを思い出していたら緊張がほぐれた。
結果は合格。家に飛んで帰ると大吉はどこにもいなかった。
拾った神社へ探しに行くと、神主さんが言った。
「それはお守り猫じゃな。ウチは学問の神様じゃて、願いが叶うと役目を終えてあなたの元から消えなすったのじゃろう」
私は涙を拭うと社に手を合わせた。
ファンタジー
公開:20/02/13 07:00
更新:20/02/12 00:44
おまもり 受験 幸福 神社

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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