眠れるあんこ

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そのこしあんはいつも眠たくて仕方なかった。あんこであるにもかかわらず四六時中、泥のように眠りたかったのだ。やがて文明というお堂のある三笠山の上に萩の月が出たある夜、そのあんこは虎が棲むという羊羹山の麓で、鹿の子達が見守る中、あん湖(こ)となった。湖になったあんこは大地に寝そべり、悠久の惰眠を貪った。
時は流れ、その地を一人の乙女が訪れた。その夢見がちな若い娘は甘酸っぱい恋の思い出を胸にあん湖に身を投げた。乙女はあん湖の中心で愛を叫び、赤く輝きながら深く眠った。
さらに時は流れ、あん湖の中で眠り続ける美しい乙女がいるという話を聞きつけて一人の男がその地を訪れた。男は上半身をはだけるとそのもちもちとした白い肌をした巨躯であん湖ごと眠り続ける乙女を優しく包み込んだ。
乙女の名は苺といい、男の名は餅という。

その伝説に因んで、菓子職人がいちご大福と名付けた菓子を作ったという本当のような嘘のお話。
ファンタジー
公開:20/02/05 13:00
博士と助手 秋田様よりお題拝借 眠たい あんこ いちご大福

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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