『翼のゆくえ』

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この世の果てのちょっと先、天の雲より少し上。有翼人の国がありました。
彼らは翼の姿をした生物と共生し、永遠の時を過ごしているのです。
ある日、有翼人のレジェは翼に言いました。
「僕はこの国を出る。人間になって地上で暮らすんだ」
翼はピクリと身を縮ませました。
「レジェ、私と離れるということは限りある命を生きるということなのですよ」
「でも僕は、地上に愛する人を、リーラを見つけてしまったんだ」
「そう。あなたは自分の命を自分で歩むのですね。行ってらっしゃい」
翼はそっと彼の背中を離れました。

数年後のとある朝、リーラはレジェに告げました。
「レジェ、赤ちゃんができたみたい。夢の中でコウノトリが運んできたの」
その時、屋根の上で羽ばたく音。何かの直感を受けたレジェは家を飛び出します。
一羽の鳥が、飛び去っていくところでした。その背中には、見覚えのある懐かしい翼がありました。
ファンタジー
公開:20/02/01 21:54

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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