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博士のお手本を読んだ助手は言った。
「期待しすぎたせいもあるのかもしれないんですが、はっきり言ってお手本というには微妙な出来ですね。むしろ僕の方が面白いような…」
「そ、それも狙いのうちだ。なにせ今回の講義テーマは〈駄作を書く勇気を持とう!〉だからな」
「ああ、ということはやはりあれはわざと下手に書いたのですね。どおりで下手だと思った」
「そんなに下手だったかな……」
「え? 何か言いました?」
「う、いや、そ、そうだ。駄作を書く勇気を身をもって教えるためにわざと下手な作品を書いたのだ。私のように小説を書くことが上手くなってしまうと酷評されるのが怖くなって小説を書かなくなってしまう。それでは上達しない。黙殺されるより酷評される方が遥かに良いのだから、堂々と駄作を書いて発表すればいいのだ」
「なるほど。あんな駄作を書いてもいいと勇気が出ました」
「うっ…」
博士は涙を拭うと部屋を飛び出した。
「期待しすぎたせいもあるのかもしれないんですが、はっきり言ってお手本というには微妙な出来ですね。むしろ僕の方が面白いような…」
「そ、それも狙いのうちだ。なにせ今回の講義テーマは〈駄作を書く勇気を持とう!〉だからな」
「ああ、ということはやはりあれはわざと下手に書いたのですね。どおりで下手だと思った」
「そんなに下手だったかな……」
「え? 何か言いました?」
「う、いや、そ、そうだ。駄作を書く勇気を身をもって教えるためにわざと下手な作品を書いたのだ。私のように小説を書くことが上手くなってしまうと酷評されるのが怖くなって小説を書かなくなってしまう。それでは上達しない。黙殺されるより酷評される方が遥かに良いのだから、堂々と駄作を書いて発表すればいいのだ」
「なるほど。あんな駄作を書いてもいいと勇気が出ました」
「うっ…」
博士は涙を拭うと部屋を飛び出した。
その他
公開:20/02/09 06:00
更新:20/02/01 03:36
更新:20/02/01 03:36
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