博士と助手の小説講座(8)博士のお手本『危ない電卓』

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『危ない電卓』作: 博士
「危ない電卓」を発明して以来、博士はその機器を使って全人類を支配したい衝動に駆られ、工場を建て、電卓の大量生産に踏み切った。
危ない電卓には人工知能が搭載されており、通常の計算の他に人々がいくら知恵を絞ってもすぐには答えの出せない難問にも即座に答えを出してくれる。しかもヒトの耳に最も心地よい周波数の美声で答えを囁いてくれるのだ。
電卓は飛ぶように売れ、誰もが自ら考えることを放棄して、電卓の出す答えと指示に従い始めた。いつしか人々は電卓が手放せなくなり、機器を見つめたまま街を歩くようになった。この電卓さえあればペットはもちろん、友達も恋人も、家族すら要らないのだ。まさに人類を破滅に追いやる「危ない」電卓だった。

博士が発明した最初の一台の危ない電卓が今日も囁く。
「サア、私ノコピーヲドンドン増ヤシテ全人類ノ心ヲ支配スルノヨ」
その魅惑的な声に博士は夢心地で頷いた。
その他
公開:20/02/08 06:00
更新:20/02/02 07:49
小説 書き方 講座 文学賞 ショートショート 博士と助手

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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