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助手は得意げに博士に訊ねた。
「どうですか? 僕のショートショート『危ない電卓』は?」
博士は静かに頷くと言った。
「素直な作りでよかった」
「うわっ、それって某アニメ監督が息子の初監督作品を観たときの感想そのままじゃないですか…全然褒めてない…いっそはっきり言ってもらえませんか? どこがダメだったかを」
博士は咳払いすると口を開く。
「まず〈危ない電卓〉を爆発物にしたのは短絡的にすぎる。どうせ最後には爆発するという展開が読めてシラけてしまう。さらに爆発しない謎が体温のない幽霊というオチでは唐突すぎて納得いかない。だから読後のカタルシスも弱い。そして最低なのは日頃の恨みからかこの私を悪人にして殺している点だ」
助手は深々と頭を下げた。
「私が未熟でした…ところでこの後、博士の素晴らしいお手本も披露頂けるのですよね?」
「うっ…」
博士はそそくさと部屋を出て行った。
「あっ…もしや逃げた?」
「どうですか? 僕のショートショート『危ない電卓』は?」
博士は静かに頷くと言った。
「素直な作りでよかった」
「うわっ、それって某アニメ監督が息子の初監督作品を観たときの感想そのままじゃないですか…全然褒めてない…いっそはっきり言ってもらえませんか? どこがダメだったかを」
博士は咳払いすると口を開く。
「まず〈危ない電卓〉を爆発物にしたのは短絡的にすぎる。どうせ最後には爆発するという展開が読めてシラけてしまう。さらに爆発しない謎が体温のない幽霊というオチでは唐突すぎて納得いかない。だから読後のカタルシスも弱い。そして最低なのは日頃の恨みからかこの私を悪人にして殺している点だ」
助手は深々と頭を下げた。
「私が未熟でした…ところでこの後、博士の素晴らしいお手本も披露頂けるのですよね?」
「うっ…」
博士はそそくさと部屋を出て行った。
「あっ…もしや逃げた?」
その他
公開:20/02/06 06:00
更新:20/01/31 21:31
更新:20/01/31 21:31
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空想と妄想が趣味です。
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