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マスターはグラスを金色の液体で満たすとカウンター席に座る美月の前に置いた。
そのGood Aftermoonと名付けられたカクテルを一口飲むと美月は微笑んだ。
「このカクテル、実は月で作られたものなのです」
マスターの言葉に美月は目を丸くする。
「実のところ、月というのは夜空に浮かぶ球体のグラスで、そこに夜ごと月の女神がこのカクテルを注いでいるのです。それが我々の目には三日月、半月、そしてグラスが全て満たされたとき、満月に見えるわけです」
美月は笑った。マスターは真剣な顔で冗談を言う。
会計を済ませるとマスターが言った。
「Bon Voyage!」
店を出ると酔いが回っていたのかふらついた。美月は思わず夜空の満月を見上げる。途端に体が宙に浮き、一直線に月へと向かって飛んでいった。
その夜、彼女の親代わりだった老夫婦はなぜか悟った。裏庭の光る竹から生まれた美月が故郷である月に帰ったことを。
そのGood Aftermoonと名付けられたカクテルを一口飲むと美月は微笑んだ。
「このカクテル、実は月で作られたものなのです」
マスターの言葉に美月は目を丸くする。
「実のところ、月というのは夜空に浮かぶ球体のグラスで、そこに夜ごと月の女神がこのカクテルを注いでいるのです。それが我々の目には三日月、半月、そしてグラスが全て満たされたとき、満月に見えるわけです」
美月は笑った。マスターは真剣な顔で冗談を言う。
会計を済ませるとマスターが言った。
「Bon Voyage!」
店を出ると酔いが回っていたのかふらついた。美月は思わず夜空の満月を見上げる。途端に体が宙に浮き、一直線に月へと向かって飛んでいった。
その夜、彼女の親代わりだった老夫婦はなぜか悟った。裏庭の光る竹から生まれた美月が故郷である月に帰ったことを。
ファンタジー
公開:20/04/10 06:00
満ちる
月
かぐや姫
カクテル
空想と妄想が趣味です。
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