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とある甘味処に入り、お品書きを見ると「満たらす団子」とあった。みたらしの「み」の字が「満ちる」という漢字になっている。しかも満たら「す」って……店主に訊ねた。
「ああ、それは、満たすをもたらすから略して満たらす団子です。この団子を食べた後で『満ちる』と唱えて指をさした物はどんな物でも中身を一杯に満たすことができますよ」
よくわからなかったけど一本食べてみた。美味しかった。
家に帰ると試しに冷蔵庫にあったシュークリームを指さし「満ちる」と唱えた。袋を開けて食べてみると生地の中にクリームがみっちり。嬉しくなって財布を指さし「満ちる」と唱えた。途端に財布がお札や小銭で膨らんだ。
でも、その楽しい生活も長くは続かなかった。ある日を境にシュークリームも財布も中身が空になった。
再び甘味処を訪れて店主に訊ねると彼は笑った。
「そりゃ当然さ。将来の分を前借りしたわけだからね」
目の前が真っ暗になった。
「ああ、それは、満たすをもたらすから略して満たらす団子です。この団子を食べた後で『満ちる』と唱えて指をさした物はどんな物でも中身を一杯に満たすことができますよ」
よくわからなかったけど一本食べてみた。美味しかった。
家に帰ると試しに冷蔵庫にあったシュークリームを指さし「満ちる」と唱えた。袋を開けて食べてみると生地の中にクリームがみっちり。嬉しくなって財布を指さし「満ちる」と唱えた。途端に財布がお札や小銭で膨らんだ。
でも、その楽しい生活も長くは続かなかった。ある日を境にシュークリームも財布も中身が空になった。
再び甘味処を訪れて店主に訊ねると彼は笑った。
「そりゃ当然さ。将来の分を前借りしたわけだからね」
目の前が真っ暗になった。
ファンタジー
公開:20/04/06 19:56
月の文学館
満ちる
大原さやかさん
朗読
第152回
月の音色
空想と妄想が趣味です。
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