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                                失恋した翌朝、私はベッドごと水面に浮いていた。
「またやっちゃった」
部屋を満たしているのは私が昨夜流した涙。枕元に畳んで置いていた水着に着替えると涙の中を泳ぎ、ドアを開けて部屋の外に出た。涙は部屋の外には流れ出てこない。その上、涙の海には色とりどりの魚が泳ぎ回っていた。それは私の夢の中を泳ぐ魚だった。
ある日、水族館に招待されると、館長が空っぽの大きな水槽を指さして言った。
「ここにあなたの夢の魚を泳がせたいのです。是非ご協力を」
私は水着に着替えると水槽の只中にある浮き輪の上に座った。渡されたタブレットで涙なしには観られない映画を次々と視聴する。途端に水槽は涙で満ちた。
水槽の中を夢の魚が泳ぎ、いい感じと思った次の瞬間、怪物のようなサメが現れ、魚達を蹴散らした。
館長が激怒して叫ぶ。
「誰だ! こんな映画を彼女に見せたのは!」
彼の手にするタブレットの中では巨大なサメが口を開けていた。
    「またやっちゃった」
部屋を満たしているのは私が昨夜流した涙。枕元に畳んで置いていた水着に着替えると涙の中を泳ぎ、ドアを開けて部屋の外に出た。涙は部屋の外には流れ出てこない。その上、涙の海には色とりどりの魚が泳ぎ回っていた。それは私の夢の中を泳ぐ魚だった。
ある日、水族館に招待されると、館長が空っぽの大きな水槽を指さして言った。
「ここにあなたの夢の魚を泳がせたいのです。是非ご協力を」
私は水着に着替えると水槽の只中にある浮き輪の上に座った。渡されたタブレットで涙なしには観られない映画を次々と視聴する。途端に水槽は涙で満ちた。
水槽の中を夢の魚が泳ぎ、いい感じと思った次の瞬間、怪物のようなサメが現れ、魚達を蹴散らした。
館長が激怒して叫ぶ。
「誰だ! こんな映画を彼女に見せたのは!」
彼の手にするタブレットの中では巨大なサメが口を開けていた。
        ファンタジー
      
      公開:20/04/08 06:00      
    
                  満ちる 
                  水族館 
                  涙 
              
    
空想と妄想が趣味です。
 
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                           蟲乃森みどり
                蟲乃森みどり