『シートシードガーデン』

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「この庭の土は特殊でね。こんなものから命が育つ」
バスタ老人は青い球を取り出した。
「これはブルーシートの切れ端。シートの種で、シートシード。これがその花」
バスタはビニル光沢の青い花を指す。
「他にも色々試した。このチェック柄の花はチェックシート。黒丸のある花はマークシート。こいつは慎重に育てないと丸が一つずれる」
バスタは熱弁を振るう。
「不思議だね。もしかしたら”薄膜”じゃなく”席”のシートでもできるのかも。おや、あれは」
私が目をやった先には、老婦人と若夫婦、それに男児。
「僕の”家族”さ」
「意外。君は園芸一筋だと思ってた」
「彼らも園芸のうちさ。そうそう、さっきの席のシートの話、実はもう試したんだ」
バスタは私をもう一つの庭に連れて行く。
「これは……」
「シルバーシート、カップルシート、チャイルドシート」
そこには、バスタの”家族”と同じものが、いっぱいに咲き誇っていた。
その他
公開:20/03/22 19:08

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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