星々のシンフォニー

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月は地球の周囲を巡り、地球は太陽の周囲を巡り、太陽系は銀河系の中心を軸に巡る……。
そこまで考えると、この宇宙はひとつの巨大な機械式時計ではないかとその天文学者は想像した。そして毎晩のように観測所から夜空へと望遠鏡を向け、飽きることなく星を眺めた。星々に満ちた夜空の彼方から無数のつぶやきが太古の潮騒のように天文学者の鼓膜を震わせる。その神秘的なシンフォニーに彼は古の星座の物語を重ねるのだった。

その頃、この宇宙時計の創造主は日々のメンテナンスに勤しんでいた。時計の部品である銀河や惑星の位置を細かく修正し、超新星爆発の後に新たなブラックホールを開けた。作業を終えると創造主は時計を耳に当てて動作を確認する。宇宙の片隅に浮かぶ小さな青い惑星で起こるあらゆる悲喜劇も、巨大な文字盤の上を旋回する針の音の一部を構成する微かな囁きに過ぎなかった。

時計のつぶやきを確認すると、創造主は満足げに頷いた。
ファンタジー
公開:20/03/20 07:00
時計のつぶやき 宇宙 銀河 天文学者

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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