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「それはクジラの生命時計ですな」
私が棚に置かれた巨大なハート型の宝石を眺めていると館長は言った。
「生命時計?」
その赤く輝くハートはドクンドクンと脈打ちながら緩やかに収縮を繰り返していた。
「全ての生き物はその寿命に合わせた命の時計をその胸に抱いている。ほら、ご覧なさい、これはネズミの生命時計です」
館長の掌では小さなハートがトクトクと素早く収縮を繰り返していた。
私は館内を見回した。広い室内にはどこまでも棚が設置され、その上には大小様々なハートが脈打っていた。
「こんなに沢山の生命時計をどうするのですか?」
「声を聴くのです」
「声?」
館長は頷く。
「生命時計とは生き物達の生きた時間そのもの。私はここでその命の呟きに耳を澄ませ、この世界の姿を知るのです。さあ、あなたの生命時計を見せて頂こう」
館長が私の胸に手をかざすと、輝くハートが浮かび上がった。
私の命の時は何を呟くだろうか。
私が棚に置かれた巨大なハート型の宝石を眺めていると館長は言った。
「生命時計?」
その赤く輝くハートはドクンドクンと脈打ちながら緩やかに収縮を繰り返していた。
「全ての生き物はその寿命に合わせた命の時計をその胸に抱いている。ほら、ご覧なさい、これはネズミの生命時計です」
館長の掌では小さなハートがトクトクと素早く収縮を繰り返していた。
私は館内を見回した。広い室内にはどこまでも棚が設置され、その上には大小様々なハートが脈打っていた。
「こんなに沢山の生命時計をどうするのですか?」
「声を聴くのです」
「声?」
館長は頷く。
「生命時計とは生き物達の生きた時間そのもの。私はここでその命の呟きに耳を澄ませ、この世界の姿を知るのです。さあ、あなたの生命時計を見せて頂こう」
館長が私の胸に手をかざすと、輝くハートが浮かび上がった。
私の命の時は何を呟くだろうか。
ファンタジー
公開:20/03/17 07:00
時計のつぶやき
ハート
体内時計
寿命
心臓
空想と妄想が趣味です。
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