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最近、眠れない夜が続いていた。そういう夜は時計の音が妙に大きく響く。
「ああっ、うるさい!」
僕は腹立ち紛れに古びた置き時計を床に放り投げた。時計は静かになったもののやはり眠れない。僕は眠ることを諦め、床の上で月の光に染まる置き時計を眺めた。時計が再び時を刻み始める。やがてそれはよく澄んだ女性の声に変わった。
「眠れないのなら、私がお話をして差し上げましょう」
僕は何気なく頷いた。すると時計はめくるめく物語を語り出した。その話に耳を傾けていると、僕はいつしか物語の世界に入り込み、遠い異国の王になったり、魔神になったり、踊り子になったりした。
その夜以来、僕はよく眠れるようになった。古い置き時計が夜ごと呟く物語によって、心踊る夢の世界へと導かれるのだった。時計を乱暴に扱うことはなくなり、夜を迎えることが最高の楽しみに変わった。
さあ、今宵はどんな物語の世界へと僕を連れて行ってくれるのだろう?
「ああっ、うるさい!」
僕は腹立ち紛れに古びた置き時計を床に放り投げた。時計は静かになったもののやはり眠れない。僕は眠ることを諦め、床の上で月の光に染まる置き時計を眺めた。時計が再び時を刻み始める。やがてそれはよく澄んだ女性の声に変わった。
「眠れないのなら、私がお話をして差し上げましょう」
僕は何気なく頷いた。すると時計はめくるめく物語を語り出した。その話に耳を傾けていると、僕はいつしか物語の世界に入り込み、遠い異国の王になったり、魔神になったり、踊り子になったりした。
その夜以来、僕はよく眠れるようになった。古い置き時計が夜ごと呟く物語によって、心踊る夢の世界へと導かれるのだった。時計を乱暴に扱うことはなくなり、夜を迎えることが最高の楽しみに変わった。
さあ、今宵はどんな物語の世界へと僕を連れて行ってくれるのだろう?
ファンタジー
公開:20/03/18 07:00
時計のつぶやき
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置時計
空想と妄想が趣味です。
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