8
8
高校が夏休みになると、私は祖父の家を訪ねた。祖父は去年の夏に他界しており、祖母が一人でそこに住んでいた。祖母一人では手入れの行き届かない広い庭には夏草が生い茂っている。私は草刈りを行った。地面を覆っていた草を刈り取ると、日時計が現れた。午後の日差しを浴び、柱の影を石板に濃く映している。蝉時雨が不意に止んで「こんにちは」と澄んだ声が響く。日時計の影から羽の生えた少女が現れた。
驚く私に少女はつぶやく。
「私は時の妖精。あなたが草を除けてくれたおかげでこうしてまた姿を現すことができたわ。だからお礼をさせて」
妖精が指を弾くと目の前に亡くなった祖父が現れた。
「お爺ちゃん」
お別れを言えず仕舞いだった私は泣いた。
祖父は微笑みながら一輪の赤い薔薇の花を差し出した。
「ありがとう」
生前に祖父がこの庭で育てていた花を受け取った。
気がつくと私は縁側の日陰で寝ていた。手には一輪の薔薇の花があった。
驚く私に少女はつぶやく。
「私は時の妖精。あなたが草を除けてくれたおかげでこうしてまた姿を現すことができたわ。だからお礼をさせて」
妖精が指を弾くと目の前に亡くなった祖父が現れた。
「お爺ちゃん」
お別れを言えず仕舞いだった私は泣いた。
祖父は微笑みながら一輪の赤い薔薇の花を差し出した。
「ありがとう」
生前に祖父がこの庭で育てていた花を受け取った。
気がつくと私は縁側の日陰で寝ていた。手には一輪の薔薇の花があった。
ファンタジー
公開:20/03/16 07:00
時計のつぶやき
日時計
夏
庭
妖精
空想と妄想が趣味です。
ログインするとコメントを投稿できます