『時計のつぶやき』

5
6

砂時計をひっくり返す。
”世界の果てのちょっと先に、僕たち星渡りの村はある”
サラサラと砂が落ち始め、時計が語りだす。
猿にタイプライターを与えれば、いつかシェイクスピアの作品を産み出すだろう、という喩え話がある。
このものがたりを創る砂時計の基本となる考えだ。
砂の一粒は一つの文字。砂は時計中央の括れにあるものがたり精製機構を通って落ちる流れの中で文字から言葉へ、言葉から文へ、そしてものがたりとなる。
5分の砂時計なら5分のものがたり。3分の砂時計なら3分のものがたり。
変わり種でいくと3秒の物もある。
ものがたりはその都度変わる。万華鏡の模様のように、同じものがたりに二度出会えることはない。
”その時、彼女はどんな話を持ち帰ってくるのだろうか”
ものがたりが終わった。
きっかり3分、私の時間はものがたりよって埋められる。
この砂時計は時を計らない。時を忘れさせるための砂時計。
その他
公開:20/03/13 20:13
月の文学館 時計のつぶやき

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容