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博士は妻を病で失って以来、愛する人をアンドロイドとして蘇らせる研究に没頭した。長年の苦労の末、ついに博士は亡き妻に瓜二つのアンドロイドを造り出した。ところが、そのアンドロイドは人の感情が理解できず、博士のスケジュールに合わせて正確な時を呟くだけだった。
「博士、お目覚めの時刻です」
アンドロイドは毎朝同じ時刻に博士を起こす。亡き妻の声で起こされるものの、その無表情な顔と声に博士は落胆し、いつしかアンドロイドを単なる時計と見なすようになっていた。
月日は流れ、ある朝、アンドロイドが「お目覚めの時刻です」と博士に呟いた。だが博士は既に息を引き取っていた。掌のセンサーによって博士の体温の低下を知ったアンドロイドは病院へ連絡した。
救急隊が研究室に駆けつけると、そこには博士の亡骸をそっと抱いたままショートしたアンドロイドの姿があった。その口元には聖母のような微笑が浮かび、頰には涙が光っていた。
「博士、お目覚めの時刻です」
アンドロイドは毎朝同じ時刻に博士を起こす。亡き妻の声で起こされるものの、その無表情な顔と声に博士は落胆し、いつしかアンドロイドを単なる時計と見なすようになっていた。
月日は流れ、ある朝、アンドロイドが「お目覚めの時刻です」と博士に呟いた。だが博士は既に息を引き取っていた。掌のセンサーによって博士の体温の低下を知ったアンドロイドは病院へ連絡した。
救急隊が研究室に駆けつけると、そこには博士の亡骸をそっと抱いたままショートしたアンドロイドの姿があった。その口元には聖母のような微笑が浮かび、頰には涙が光っていた。
SF
公開:20/03/12 07:00
時計のつぶやき
アンドロイド
心
愛
博士
空想と妄想が趣味です。
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