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私の夫が経営する店はこの頃、「恋の生まれるカフェ」と呼ばれている。彼の淹れるコーヒーを飲んだお客は誰もがたちまち恋に落ちると口コミで評判になり、連日大賑わいだった。
でも、その秘密は香り高い湯気を上げる熱々のコーヒーの中にはない。
週に二度ほど店を手伝う私はふと壁に掛けてある鳩時計を見上げる。長針と短針が合わさり正午になった次の瞬間、文字盤の上の小窓が開き、青い鳩が顔を出して鳴いた。その途端に店内には何とも言えない優しく温かな空気が漂う。するとコーヒーカップを手に席に着いていた老若男女が情熱的に見つめ合い、魅惑的な愛の言葉を囁き合い始めるのだ。
そう、秘密はこの鳩時計。
発明家の私は苦労の末、ヒトが恋に落ちる超音波を機械仕掛けの鳩につぶやかせることに成功したというわけ。
ちなみにこの鳩時計を最初に試したのがこのカフェの店長、つまり我が愛しのダーリンということは私にとっての最高の秘密なのだ。
でも、その秘密は香り高い湯気を上げる熱々のコーヒーの中にはない。
週に二度ほど店を手伝う私はふと壁に掛けてある鳩時計を見上げる。長針と短針が合わさり正午になった次の瞬間、文字盤の上の小窓が開き、青い鳩が顔を出して鳴いた。その途端に店内には何とも言えない優しく温かな空気が漂う。するとコーヒーカップを手に席に着いていた老若男女が情熱的に見つめ合い、魅惑的な愛の言葉を囁き合い始めるのだ。
そう、秘密はこの鳩時計。
発明家の私は苦労の末、ヒトが恋に落ちる超音波を機械仕掛けの鳩につぶやかせることに成功したというわけ。
ちなみにこの鳩時計を最初に試したのがこのカフェの店長、つまり我が愛しのダーリンということは私にとっての最高の秘密なのだ。
SF
公開:20/03/10 07:00
時計のつぶやき
鳩時計
恋
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空想と妄想が趣味です。
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