すごろく人生

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結婚は新たなスタートに過ぎなかった。私達は運命のサイコロを振ると賽の目ならぬ節目に翻弄されながらすごろく人生を二人三脚で進んだ。最初は仲良く足並みの揃っていた私達に不運な節目が相次いで出て、喧嘩になったりもした。でもすぐに仲直りして、何とか二人で歩んできた。
やがて娘が生まれ、三人四脚になった。家族が増えると節目も増え、すごろくの難易度も上がる。辛く苦しい節目も家族のために歯を食いしばって耐えた。
娘が嫁ぐとまた二人三脚に戻った。年齢を重ね、体力は落ちているはずなのに私達の足並みは若い頃よりも揃った。阿吽の呼吸も束の間、妻が病に倒れた。
愛する伴侶を失ってからはたった独りでこの道を進まなくてはならなかった。寂しさに挫けそうになった時、道の先で娘が家族と待っていた。
これで私はまた元気が出て、残りのすごろく人生をゴールまで完走できそうだ。
彼方に見えるゴールでは亡き妻が笑顔で手を振っていた。
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公開:19/12/10 23:50
更新:19/12/11 09:03
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蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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