今こそ、別れ目

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また同じ夢。卒業式の日、私は『仰げば尊し』を歌っている。でも「今こそ別れ目」と歌った瞬間、泣きながら目が覚める。
外は青空に入道雲。蝉時雨。夏休みだった。この状況をもう何度も繰り返しているような……デジャヴ?
天文部の黒河君から〈今夜7時に学校の屋上で〉とメールが来た。
出かけていくと既に彼は屋上にいた。
「君に伝えたいことがある」
「何?」
「僕は来年の卒業式の日に不治の病で死ぬ」
「冗談よしてよ」
彼は笑わない。
「僕はあの日、薄れゆく意識の中で君と別れたくないと強く願った。すると今日に戻っていた。何度もだ」
デジャヴの謎が解けた。
「でも終わりにしなくちゃならない。この時空のループから君を解放し、互いの未来へ進むために」
「そんな……」
私達は星空の下、泣きながら抱き合った。

卒業式で私は『仰げば尊し』を歌っている。
「今こそ別れ目、いざさらば」
歌い終えた後も涙が止まらなかった。
青春
公開:19/12/08 14:33
更新:19/12/08 22:54
節目 仰げば尊し 卒業式 デジャヴ 夏休み

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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