時の結晶
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その宝物館では不思議な宝石が並べられていた。館内に入ると館長は私の胸からハート型の宝石を取り出した。傷だらけだった。
「こんなに傷だらけじゃ輝けない」
そう言った私に館長は微笑んだ。
「この傷を我々は節目傷と呼んでいます。人の心は人生の転機に向き合う時、大きく傷つきますが、この傷を活かしたカットを施せばより美しく輝くのです。無駄になる傷などありません」
館長は奥の工房で作業をすると私の心を差し出した。繊細なカットが施された私の心はキラキラと輝いていた。
「ここに陳列しているのは生きとし生けるものの胸の中でその生涯をかけて育まれた心という名の時の結晶。さあ、館内をご案内しましょう」
館長が私の手を取った。
「おーい、聞いてるか?」
目を開けると苦笑する彼氏がいた。
「話してる最中に居眠り? ところで指輪、どれにする?」
宝石店の前で彼氏が言う。
「いらない」
そう言って私は彼の手を握った。
「こんなに傷だらけじゃ輝けない」
そう言った私に館長は微笑んだ。
「この傷を我々は節目傷と呼んでいます。人の心は人生の転機に向き合う時、大きく傷つきますが、この傷を活かしたカットを施せばより美しく輝くのです。無駄になる傷などありません」
館長は奥の工房で作業をすると私の心を差し出した。繊細なカットが施された私の心はキラキラと輝いていた。
「ここに陳列しているのは生きとし生けるものの胸の中でその生涯をかけて育まれた心という名の時の結晶。さあ、館内をご案内しましょう」
館長が私の手を取った。
「おーい、聞いてるか?」
目を開けると苦笑する彼氏がいた。
「話してる最中に居眠り? ところで指輪、どれにする?」
宝石店の前で彼氏が言う。
「いらない」
そう言って私は彼の手を握った。
ファンタジー
公開:19/12/07 08:41
節目
宝石
心
空想と妄想が趣味です。
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